ケイスケヨシダ 2025年春夏コレクション - 冷静な奥行き、突如現れるエレガンス
試しに身体を通してみると、裏地がボディに張り付き、ドレスのように見えた。その様はどこか心許なく脆くもあるが、一方でエレガンスな美しさを孕んでいた。
身近だけど遠い「たんぽぽ」
今季を語る上で、もうひとつ欠かせないテーマが「たんぽぽ」だ。バラを多く用いるケイスケヨシダであるが、バラというのは不動の人気を誇り、花屋に行けばすぐに手に入るし薔薇園もある、そして特別な時にはプレゼントすることもされることだってある。では「たんぽぽ」は?道端で咲いているのを見かけることはあっても、花屋には売っていないし手に入れるのが難しい。こうした背景をもとに、日常の中で出会える「たんぽぽ」に冷静に目を向け、今季のモチーフとして、トップスのプリントとしてひっそりと採用した。一方で、コレクション全体にパッと華やかさをもたらすバラの総柄ドレスも展開された。
隙を見せるシワ
自身がデザインしたことのあるアイテムをベースにしていることから、あくまでフォーマルウェアがメインとなっている今季。
サテンやポリエステルといった艶々とした光沢感のある素材で作られたブラウスやミニ丈のワンピースが繰り返し登場した。特徴的なのは、上品でありながらも全面にシワ加工が施されていること。