ケイスケヨシダ 2021年秋冬コレクション - さえない青春、 希望のメタファー
という吉田ならではのクリエーションだ。かっちりとしたテーラードのロングコートは背中にカッティングを施し、そこに身体を通すことによって、前かがみの姿勢を表現。ミリタリージャケットは丈の異なる2枚の生地をレイヤードすることによって、うなだれている人の姿勢を再現している。
dead pigeonのグラフィック
シーズンテーマにも掲げた「dead pigeon」は、グラフィックとしてコレクションに登場。パーカーやコートのフロントに大胆にあしらわれている。このモチーフは、ある日、吉田が見かけた鳩の死骸からインスピレーションを得たもの。死骸は翌日になると何ものかに攫われ、羽だけがふわりと残っていた。その情景の虚しさ、そして愛しさが、今季のテーマである青春とリンクしたという。
さえない青春は“希望のメタファー”
歪んだ制服、うつむいた姿勢、亡骸...若者の“さえない姿”を落とし込んだという今季のクリエーションは、額面通りに受け取れば、ネガティブなものだ。会場に並べられた紫色の学校机や、ショーミュージックに起用された雨音も、観客を暗い気分に陥れる。しかし吉田は、今季のムードは「これからの未来が明るくなっていくことを予感させる“希望のメタファー”」