ミカゲ シン 2021-22年秋冬コレクション -天才ニーチェは、今何を思ふ
時に、手元のノートに乱雑に書きなっぐたかのような筆致は、まるで偉大なアイディアが生まれる“思考のプロセス”の瞬間を垣間見ているかのよう。衣服を縦断するような大胆なフリルや、構築的なアシンメトリーなシルエットも相まって、より一層複雑な表情が増しているのも印象的だ。
京都の伝統工芸品など
こうした文学に続き、アートにまつわるアプローチもまた、様々なかたちとなって登場する。固まり切らない“流動性”を表現したという、京都の伝統工芸品・墨流しの布地は、シアーなブラックドレスの上で、しっとりと揺らめく表情が特徴的。
またアイボリーのスウェットにプリントされた“洋ナシ”は、一説によると「醜いもの」が名前の由来であることから、時を経て変わりゆく“価値観の変容”を意味しているという。
流れるプリーツ&ゆったりしたシルエット
衣服そのもののデザインには、アウターからボトムスまで、流れるようなプリーツをたっぷりとあしらって。また全体的にモデルの体躯を覆うゆったりとしたシルエットが主流で、中でもオーバーサイズに仕上げたトレンチコート風のアウターは、アームのフォルムを変えられるユニークなジップ付きのピースだ。