2021年5月8日 20:30
グッチ 2021年秋「アリア」コレクション - 歴史の〈引用〉、軽やかな表層の転位
ジャケットやショルダーを強調したコートは、両ブランドのロゴやGGパターンなどをのせることで、“表層において”この「アリア」コレクションの一部をなすものとなっている。
隠す/見せるの戯れ
そもそも衣服とは、すぐれて身体の表層に戯れるものではなかろうか。それを官能と呼んでもよかろう。そしてグッチの歴史において身体のこの官能を追求したのが、トム・フォードであった。身体がエロティックでありうるのは、それを覆う衣服との関係裡においてである。そのような隠す/見せるの軽妙なる戯れは、バスト上のショート丈に設定して素肌をむき出しにしたシャツやニット、シースルーのトップス、ランジェリーのように身体に密着するレースのドレスなど、随所に反映されている。
フェティシズムへの接続
身体と衣服のあわいの揺らめきは、衣服に身体を見るフェティシズムへと輪舞を舞うように接続される。メンズ・ウィメンズともに見られるタイトなパンツにはレザーを使用。
身体のラインを浮き彫りにするスカートやドレス、肩を強調したダブルブレストスーツなどには、艶やかなビニール素材を。そしてラグジュアリーの記号たるファーも、ここでフェティッシュへと接ぎ木されることになる。