くらし情報『レバークチュール 2023年春夏コレクション - 夢のひとひら、刹那の形象』

2022年9月4日 19:20

レバークチュール 2023年春夏コレクション - 夢のひとひら、刹那の形象

〈軽やかなる固化〉という、この矛盾した響き!

織物という平面を立体へと変えること──薄く柔らかな素材もまた、緻密なプリーツを施すことで、一種のボリュームを獲得する。華やかに光沢をまとったプリーツ素材は、褶曲しつつ身体の上を縦横に走り、あるいは扇のように優雅に広がる。身体という複雑なフォルムの上で、プリーツというひとつの素材が豊かな表情を織りなしてゆく。

ひとひらの織物が凝縮し、また広がることでフォルムを織りなす一方、「パーツ」とでも呼ぶべきものを素材にするベクトルも見られる。帯を思わせる細長い素材は、いわば1枚の織物をまとうことで衣服とするかのように、身体に蝟集しては官能的なドレスに変幻する。歩みの律動に合わせて動くその躍動感は、帯様の形状ゆえにいっそう際立つものとなっている。

織物ならぬ素材が一瞬夢見るドレスの形象──ダイナミックなフェザーを用いたドレスこそ、すぐれてその一例をなすものだといえる。光を透かして白くきらめくフェザーは、さながら天から舞い落ちては身体を包みこむかのように、官能的なドレスを生みだす。
羽根という、柔らかく軽やかな素材が織りなす一瞬の姿──さながら刹那の裡に具現する〈軽やかなる固化〉を、ここにも見てとることができるだろう。

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