坂東眞理子さん「価値観を押し付けない…ウィズ・コロナの“たしなみ”」
「久しぶりに会って話すのはいいことだけれど、時間を区切ったり、頻度を抑えたり。ベタベタしすぎないほうが関係も長続きするし、自分の生活や心の平静を維持しやすいと思うんです。そして、家族でも友人でも、自分の価値観を押し付けないことが、ウィズ・コロナの“たしなみ”ではないかしら。コロナに対しては一人ひとり、考え方が違いますよね。これは良しあしではなくて、価値観の相違だから、そっとしておく。論争してはいけないんです。『あの人はマスクをしていない』などと気になる人もいるでしょうけれど、ならば『2メートル以内に近づかないようにしよう』と思うまで。『変えなさい』『迷惑よ』と、口出しすることではありません。
正義の意識は、自分の行動に対してだけ。価値観を押し付けると、自分の心が乱れます。それよりも、自分の大事な一日を、気分よく過ごすことに専念したいですね」
今日という日は、今後の人生でいちばん若い、大事な一日ーー『70歳のたしなみ』を執筆中に、あらためて気づいたのだという。
「70歳になると『もう私は……』と元気がなくなり、不機嫌になりやすい。でも、今回のコロナ禍では、想定外の環境に投げ込まれて、年代を問わず多くの人が不機嫌になったのではないかしら。