2020年6月29日 06:00
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の意外と小さい名画
■個人宅にも入る小さなオランダ絵画
「17世紀のオランダでは、受注生産ではなく、画家が描いた絵画を顧客が買う市場が確立されました。顧客は主に市民階級で、彼らのさほど大きくもない家にも入るようにサイズも小さめ。肖像画も、バストアップが主流です」
小さな絵で知られる、ヨハネス・フェルメール晩年の名作『ヴァージナルの前に座る若い女性』(1670-72年ごろ)は51.5×45.5cm。市民にとって身近な主観や風俗画が好まれたのもこのころの特徴。
■革新的な印象派絵画、サイズは無難!?
「19世紀半ば以降、絵画とは画家の思想を表現するものと捉えられ、サイズも画家の意図に基づいて決められるように。ただ、当時社会からあまり理解されなかった印象派は市民の邸宅に入る無難なサイズにせざるをえなかったようです」
フィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』(1888年)はゴーガンと住む家の寝室に飾ることを想定した92.1×73cm。部屋に複数飾ることを考えて何枚も描いた。
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」国立西洋美術館にて10月18日まで開催中(日時指定制)。
※開館時間/9時30分〜17時30分(金・土は〜21時)