22歳で起業した女性林業家「女性チーム」で斜陽業界の救世主に
たくさん間伐したほうが当然、利益になる。ところが、野中家では3月から8月までは間伐をしない。この時期の杉は地中の水をどんどん吸い上げ、幹の表皮が柔らかい。伐った木が倒れて当たると、生きている木の皮がむけ、傷ついてしまうため、あえて間伐しないという。
「私は、木を伐るとき、その木に手を触れたり、抱きついたりしています。『伐らせていただきます』という気持ちです。いくら忙しくても、それだけはやりたい!」
優佳さんが山を守ると腹をくくったのは、10代の夜遊び生活から卒業した21歳のときだった。それから、猛然と林業の勉強や林業研修という制度への参加をし、22歳で会社を設立。
父・直行さんも社員の1人だ。会社経営について素人だった優佳さんは、最初は父に給料を払えなかったほど苦労したという。
しかし、負けず嫌いの優佳さんはこう言った。
「山のために、大型機械を導入しない。木のために、バイオマスに興味を示さない。そんな私たちに、ほかの林業従事者は『まぁ、頑張れ』『やってみたらいいよ』と、冷ややかです。それが悔しい。まだ、何も動かせていないということだから。
私は、『あいつら、ヤバいな』と煙たがられる存在になりたい。