2021年4月22日 06:00
海洋放出に福島県民の怒りの声「6年前の約束ほごにされ…」
そこで、大島さんや原子力市民委員会の座長代理で国際環境NGO・FoEジャパンの満田かんなさんに、処理水の海洋放出が抱える問題を解説してもらった。
【問題1】“長期保管プラン”がじゅうぶん検討されていない
経産省は’13年から委員会を設置し、汚染水の処分方法などを議論してきたが、「はじめから“海洋放出ありき”で議論が進んでいた」と大島さんは指摘する。
「私たち原子力市民委員会は、海外で導入実績もあり、コストも比較的安価な大型タンクで長期保管する案などを提案したのですが、東電は〈雨水が入る〉〈漏えいリスクがある〉などという理由で検討しようともしませんでした。管轄の経産省も、東電の意見をそのまま受け入れ議論すらしない。トリチウムの半減期(放射性物質のエネルギーが半分になるまでの時間)は12〜13年。100年かけて保管すれば安全に処理できるようになるにもかかわらず、です」
100年という期間は長すぎるようにも思えるが、チェルノブイリ原発事故の廃炉作業は、事故から35年たった現在も続いている。「東電は、30年で廃炉作業を終了するというロードマップに合わせて汚染水タンクを撤去しなくてはならないと焦っています。