2021年4月22日 06:00
海洋放出に福島県民の怒りの声「6年前の約束ほごにされ…」
しかし、東電の試算では処理水を流しきるだけでも30年かかる。無謀な廃炉工程は、作業員に無用な被ばくを強いるだけなのです」
【問題2】地元住民への“約束”が守られていない
大島さん、満田さんがもっとも懸念するのは、「国民の声が政策に反映されないこと」だと語る。
「福島県漁連は’15年に、〈関係者の理解を得られるまで海洋放出しない〉という約束を東電と結んでいたのに、政府はそれをほごにしたんです」(満田さん)
こうした状況に対し、福島県民からは憤りの声も聞こえてくる。いわき市の主婦、千葉由美さん(51)は、こう怒りをあらわにする。
「“風評”じゃなく“実害”です。’18年に試験操業中のヒラメから基準値超えの放射性セシウム137が検出されたことが判明し、出荷がストップしたこともありましたから。いわきでは、市場で売れない魚が学校給食に使われ子どもたちが食べています。健康影響がわからないからこそ、できるかぎり安全な環境を守ることが大人の責任ではないですか」
政府はなぜ、地元住民との約束を無視してまで、海洋放出という決断を強行したのか。
大島さんは、国民の命を“軽視”しているともいえるその思惑について見解を述べる。