2022年5月2日 06:00
作家・江上剛語る「日本の生産性の低さは労働者ではなく、大企業の経営者のせいだ」
日本のサラリーマンの平均賃金は30年前とほぼ同じ。一方、世界経済は成長し続け、日本の平均賃金はOECD(経済協力開発機構)の統計で35カ国中22位という低い水準となっている(2020年)。
現場の社員は、日々「生産性を上げろ」と経営陣に発破をかけられているが……。「もう十分に働いているのに」と、思っている人も少なくないはず。なぜ、こんなに働いているのに我々は豊かにならないのだろうか。
新型感染症が蔓延するなかでの金融危機を描いた『Disruptor 金融の破壊者』(光文社)などの経済小説を多数上梓している作家で、元銀行員の江上剛さんが日本の企業が抱える問題を斬る。
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「『日本は労働生産性が低い』って言われるでしょ?私は、その責任が社員にあるとは思っていません」
江上さんはこう断言する。日本経済が成長していない理由として、労働生産性の低さが指摘されてきた。
日本の労働生産性(2020年、日本生産性本部調べ)はOECD(経済協力開発機構)加盟の38カ国中で23位と、過去50年で最低の順位だという。
しかし、日本は「ものづくりの国」として世界から技術を信頼され、その勤勉さが評価されてきたはずだ。