【虐待を食い止める その3】『もう疲れてきた、割と本気で保育士辞めたい』『親ごさん、虐待してませんので、うたがわないで』保育士たちの悲痛な叫び
虐待で書類送検されたり、逮捕される保育士がいる一方、大多数は責任感の強い保育士であり、ネグレクト家庭に休日返上で対応する者もいる、と石川氏は言い切る。
「保育園では『家庭での虐待が疑われるケース』については、児童相談所への通告義務があるため、使命感のある保育士さんは、いくらあっても時間が足りないという現状です」
体のアザや殴打の痕など親の虐待が疑われる子どもを発見した場合は、保育士がその状況を客観的に報告するため、体を撮影しておく必要も生じる。石川氏が目にしたケースでは、子どもの心にダメージを与えないよう、『ほら先生と一緒に撮ろうね』などと声がけをし、自分もおヘソを見せるなどして、園児をリラックスさせるなどの配慮をする光景もあった。
「不適切保育は本当に許されないことです。けれど、立派な保育士さんまで疑いの目で見られているという、辛い状況があります。いまは保育園で、わずかなかすり傷でも作って帰って来ると、クレームを入れる保護者もいます。『何時何分にどんな状態でこの傷ができたのか、詳細をレポートで出すように』と園に要求するケースもあります。いまの保育士さんへのバッシングが高まる状況は、保育の現場がさらに疲弊する危うさがあります」