伊吹吾郎 秘技「腰骨はずし」はやられ役がNG連発するほどの大技でした
「クランクインして1週間くらいしたとき、ライティング待ちをしていたら、藤田さんがひょっこりやってきて『伊吹さんは、本当の侍みたいだね』とぽつりと言ってくれたのを覚えています。藤田さんは現場で積極的にコミュニケーションを取る人で、主役だと感じさせないほどスタッフとも気さくに雑談していました。秀を演じていた三田村(邦彦)くんは、初めての時代劇だったみたいなので、よく一緒に食事に行って、時代劇の撮影所の雰囲気とかを話したりしていました」
松竹京都撮影所は家族的な雰囲気だったという。
「翌日に競馬の天皇賞があれば『よし、明日の分も今日、撮っちゃおうか』と、その場のノリで決まっていくんです。自由度が高く、勢いがあるから、アイデアも出てくるのですね」
ドラマの見どころである、悪者の“殺し方”も、こうした勢いから生まれていった。
「出演当初は、同田貫という刃渡りが太くて長い刀が武器。主水も刀なので“かぶっているな”と、少し残念な気持ちもありました」
そんなこともあってか、プロデューサーから提案があった。
「左門が武士をやめて同田貫(どうだぬき)を捨てるということでした。
新たな暗殺方法として、手で敵の腰骨をはずすという技を『吾郎ちゃん、どうだろう?』と相談されたんです。