【後編】ガザ爆撃で病院に搬送された子供が自分の子で…帰国の日本人看護師が見た惨状
私は看護師ですが、現地の方々は“ジャパニーズドクター”と歓迎してくれたんです。子供がわっと寄ってきて、処置できないほど。十分な医療支援とはいえませんでしたが、血圧を測るだけで『来てくれて、ありがとう』『明日も来てくれる?』と言ってくれるんですね。
そのお礼にと、スープをご馳走になることもありました。明日、自分たちの食糧が尽きるかもしれないのに……。ガザの人たちはすごく親切です。集まってきた子供たちと一緒に折り紙を折ったりもして、逆に私が癒されました」
一方、南部以上に激しい戦闘にさらされている北部は悲惨な状況だった。電気が遮断されたため、スマホの画面を照らして処置をすることもあったという。
爆撃が続いていて、川瀬さんの職場であったアルクッズ病院でも10メートルほど先の道路や、上の階に爆弾が撃ち込まれる被害があったという。
「負傷者が次々に運ばれてきたようです。ある小児科のドクターが対応にあたろうとしたら、それが自分の子供だったんです。一人は男の子で亡くなっていて、もう一人の女の子はICUでの治療が必要なほど重症で……。周りのスタッフもかける言葉がなく立ち尽くしていたそうですが、その後もどんどんと患者が運び込まれて、治療にあたり続けなければなりません」