佐野史郎「冬彦さん」伝説の木馬シーンはベテランのスタッフ陣だったら生まれなかった
「ボクが自転車で倒れて指をケガすると、その指を野際さんが舐めて止血するシーン。とっさの思いつきで、舐めてもらった指をアドリブでボクが舐め返したんです」
それが強烈なマザコンキャラを印象付けるシーンとなった。
「これも相手が何度も共演していた野際さんだからできたことで、初対面の大御所女優さん相手だったら、さすがに怒られるので無理でしたよ」
木馬にまたがる冬彦さんの姿も、インパクトが大きかった。
「あるときスタジオに行くと、木馬が置いてある。プロデューサーの許可を得ないまま、ディレクターが勝手に津川雅彦さんの経営する玩具店に発注していたんです。始末書ものだろうけど、あったら使わないといけないですから(笑)。ベテランのスタッフ陣だったら、勝手に設定や演出、セリフを変えることは難しいですが、スタッフ全員が若かったから現場のノリもよくて、みんなで案を出しあっていました」
だからこそ、あれほどエキセントリックな冬彦さんキャラができあがったのだ。「3話の放送が終わったあたりで、撮影スタジオに行くために電車に乗ると、若い女性からは“冬彦が来た”と気持ち悪がられたり、優先席に座るおじいさんからにらまれたり(笑)。
それで、次の日から車で移動することになりました。テレビの影響力が強かった時代だったんですね」
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