山本陽子さん 初演劇賞の賞金も全額寄付…大女優が30年続けていた「盲導犬育成支援」
’94年に穂積さんから『陽子さんが、名古屋でチャリティゴルフ会を開催するから、付き添ってあげなよ』と、言われたのです」
山本さんはファンたちと「山本陽子QUEEN会」という親睦団体を結成しており、おもに中部地方で毎年、チャリティゴルフ会を開催していたのだ。そして’91年からは、中部盲導犬協会に寄付を続けていた。
「その理由について聞くと山本さんは、『盲導犬サーブの勇気ある行動と、運命に共感したから』と、語っていました」
サーブは’77年に愛知県で生まれたメスのシェパード。中部盲導犬協会で訓練を受け、マッサージ師の男性の生活を支える盲導犬となった。だが’82年、その男性が国道を歩いていたとき、乗用車が突っ込んできたのだ。サーブは男性を守るために身を投げ出し、左前脚を失う重傷を負った……。
「その物語は翌年に児童書として出版されロングセラーになりました。サーブは’88年に天国に旅立ちましたが、山本さんもサーブのことを知って、強い感銘を受けたのです」
寄付を始めた山本さんが、サーブゆかりの中部盲導犬協会を訪れたのは、’94年5月21日。
それまでの寄付で子犬5頭が購入されており、そのうち盲導犬として“成人”していたクイーン号、キング号と対面した山本さんは、
「陰で支える訓練士さんのご努力で、立派な盲導犬に成長したのだな、と感じました」