谷川俊太郎、92歳の新たな挑戦「今まで経験したことのない何かを感じたい」
人間はやっぱり争うからね。勝負事が結構好きでしょう?
だから、割と、いろんな事件が起こっても、もう平気になっちゃいましたね、年取ったら。
――40~50代には、日々の生活に追われながらも自分の生き方に迷いを抱いている人が多くいます。そんな人たちに何かアドバイスをいただけますか。
もうそんな生意気なことできないね、年寄りだから。
年寄りは、若い人と違って、全然発想が変わるんですよ。
だから、諦めてもいいとか、絶望してもいいとか、そういうマイナスの価値が自分でもありのままに認められるようになったというところがありますよね。
言ってみればすごく自由になっていて、自分が感じることは全部リアリティがあるんだと思うようになって、あんまり、こういうふうに感じちゃいけないとか、こんなことを思っちゃいけないとか、というふうにはなってなくて、「何でもありだ」という感じになってますね、今や。
――今回発売した本は、谷川さんの詩と宮内ヨシオさんの絵を組み合わせた合作ですね。
僕は若い頃から、来る仕事で、自分ができそうな仕事は全部受けていたんです。何しろ、大学にも行ってないし、手に職もないし、とにかく食っていかなきゃいけなかったから。