谷川俊太郎、92歳の新たな挑戦「今まで経験したことのない何かを感じたい」
そういうわけで、例えば歌詞を書くとか、誰かのイラストに言葉を書くとか、自分とは違うジャンルの仕事っていうのをいっぱいやってきているわけ。それが結構、自分のエネルギーになっていたんですね。一人でやるのではなく、いろんな人とやるということが。
それは本当に、自分じゃなくて、他の人のおかげで今までやってきたという気持ちはすごくありますね。
だから結構、合作のほうが力を得るというか、エネルギーが湧くことが多かったりするんですよ。
自分にないものが出てくると、自分の中からまた何か出てくるんですよね、一人でやるよりも。
ほかのジャンルの作品を見せてもらって、そこから自分の中の何かが湧いてくるということがありますからね。
――創作活動において、何か影響を与えているものはありますか。
僕は子供のころから自然に触れて生きてきて、それが詩にも大きな影響を与えていると感じています。
自然というのは自分の創作の原動力になっているんですよね。言葉の世界というのは一種人工的でしょう。どうしても、その言葉の世界のもとにある芸術というのに触れたくなるんですが、それが究極的には自然なんですよね。
だから、やはり、東京にいるだけじゃなくて、ときどき自然の中に出たくなったりしましたね。