岸田政権で進む「強欲インフレ」“値上がり分”従業員に還元せず内部留保→実質賃金減のからくり
(加谷さん、以下同)
その企業収益はどこに?
「昨今の世界規模の物価上昇で、企業がコスト以上に値上げすることを、欧米ではグリードフレーション(=強欲インフレ)と呼んで批判されています。
日本の企業もこの強欲インフレ=便乗値上げを行っていることがうかがえます。便乗値上げで企業の利益を上げて、内部留保するというシステムなんです」
私たちの実質賃金は前年度比で2.2%も下がっているのに、企業側は4%近い利益を上げ、お金をため込んでいるなんて……。
「これは一概には言えませんが、家族経営の企業やオーナー企業であれば、お金の価値が低くなるインフレ下では不利になるので内部留保せず、投資に回す方策を積極的に取ると思います。しかし社員から社長に就任した経営者の多くは、内部留保を増やして、無事任期を終えようとするのでしょう」
今年の春闘では賃上げ率5.58%(経団連5月20日発表)と33年ぶりの高水準に沸いたはずだが……。
「この数字にも企業側のからくりがあるんです。確かに、若い世代の社員はここ1?2年、賃金が上がってきていると思います。
しかし問題は、おもに50代以上の世代の役職定年制度です。