作家・赤川次郎氏 福島演劇高校生たちと語った「福島の未来」
だから、時がたつにつれて汚染の事実も忘れ去られてしまうっていう哀しさも伝えたいと思いました。
対談には今回の舞台にも立った、高校を卒業したばかりの若者も参加してくれた。
河田葉子(19)放射能は、健康に影響が出るのは、何十年先かもしれないから、すごく怖い。でもそういうことってなかなか言いづらいんです。お芝居の中では、戦争と原発事故を比較することで、異常なことがいまも起こっているんだよってことを、みんなに気づいてほしいと思いました。
田中私は戦時中と現代、どちらの時代にも矛盾があるってことを伝えたかったんです。
赤川矛盾、というと?
田中たとえば劇の中で戦時中のシーンには、「新型爆弾の開発に成功したら、ニューヨークも吹っ飛ばせる!」と言って、みんなが喜んじゃう場面があるんだけど、いま考えれば、それって喜ぶようなことじゃないですよね。
赤川そうだね、そういう“ノリ”はおかしいよね。
田中はい。けど結局、いまだって原発は事故を起こしたら大変だからダメだ、と言いながらも、現実には再稼働が進んでいるじゃないですか。