作家・曽野綾子語る介護のコツ「周り気にせず手抜きが必要」
東京都大田区内に自宅を建てたのは50年前のことだが、この家で介護をしたのは、三浦さんだけではない。実母、そして三浦さんの両親の3人も在宅介護し、そしてみとってきた。
「母は離れで、義父母は隣接する別棟で暮らしていました。母は83歳、義母は89歳、義父は92歳と、みんな比較的長命でしたね。私もずっと仕事をしていましたし、体が弱ってきた親たちと別居するとか、施設に入れるという選択肢は考えられませんでした。私はただ、三浦の両親のときもそうですが、『このまま家にいたい』という、彼らの希望をかなえたいと思いました。高齢者の望みなんてささやかなものです。『家で孫たちといっしょに暮らしたい』『寒い日には熱い鍋焼きうどんが食べたい』とか。
彼らの人生の本質的な願いをかなえることは難しいかもしれませんが、そういうささやかなことは家族としてかなえたかったのです」
曽野さんは苦労話を語ることを好まないが、3人の老親の介護はなみたいていのことではなかっただろう。
「当時、私は『わが家はミニ養老院をやっていますので』と語っていました。『まとめて面倒みたほうがラク』な面もありますからね。