余命半年宣告受けた医師語る「がんになったから実現した夢」
「あきらめに近い心境かもしれません。正直、ボクも死から目を背けている部分があります。それでもボクには長い命が残されていないので、できないことはすっぱりと切り捨て、本当に自分にしかできないこと、やりたいことを優先するしかありません」
病室のベッドで、点滴用の針が差し込まれた腕をなでながら冷静に語る。じつは西村さんも「何の治療もしなければ余命半年」と宣告された胃がん患者なのだ。自らの体験をまとめた『余命半年、僕はこうして乗り越えた!』(ブックマン社)を出版すると、全国から講演依頼が。
「北は北海道、南は九州に至るまで。そのとき、ずっと家内と一緒でした。今もほとんどの時間を妻と過ごし、元看護師の妻がボクの専属看護師兼秘書兼運転手をこなしてくれています。
結婚以来、初めて家内と一緒にいられる時間があるのも、キャンサーギフト(がんが与えてくれる贈り物)なのかもしれません」
妻のサポートを受けながら、医師人生の集大成として実現すべき夢に向き合えたことも、西村さんにとっては“ギフト”だといえるかもしれない。
「医師として生きてきて、やはり自分のことだけでなく、ほかの誰かの役に立ちたいと考えました。