電動カート開発した77歳女性、「母の介護体験が背中押した」
買い物や友達と会うなど、もっと気軽に高齢者が外に出られたら、ボケることなく、元気でくらしていけるだろうと思ったのです」
技術者と協力しながら、持ち慣れない工具を手に、内山さんは試作を繰り返す日々を過ごした。
「計器類は単純化し、エネルギー残量だけわかるように。スピードダイヤル(速度調節器)も、ウサギとカメのイラストをつけてわかりやすくするなど、私がボケたらどうだろうと想定しながら。とにかくシンプルにしたかったんです。また安全面も重要。ハンドルから手を離すと自動的に停止するシステムづくりには2年近くもかかってしまいました」
電動カートが完成したのは’12年のこと。1台16万円の電動カートの売り上げは徐々に伸びており、昨年だけで200台も販売した。
「社会福祉とは無縁の世界にいた私が、諦めずに開発できたのは、母に対して、もっとやれることがあったのでは、という思いがあったから。
多くの人に乗ってほしいです」