おはぎ専門店経営する78歳女性「『おいしい』が原動力!」
京都市東山区小松町。良縁のパワースポットとして知られる安井金毘羅宮のそばにある茶房「小多福」に足を踏み入れると、のれんの隙間から、顔をだした川崎加津子さん(78)の元気な「いらっしゃい」の声が出迎える。小多福の人気の品は、甘すぎず、どこか懐かしい味わいのおはぎ。しかも、黒と白のあんこ、きな粉、赤と青の梅、紫の古代米など8種類のおはぎだ。
宝石のようなおはぎを求めて、全国から客が訪ねてくるという小多福が開業したのは’09年の春。川崎さんが70歳のとき。川崎さんは、趣味として作ったおはぎを友人に配ったり、供物として寺に納めたりした。それが「おいしい」と評判になっていた。
そんな川崎さんが68歳のときに敗血症に。3人に1人が亡くなるという恐ろしい病魔に襲われたことが、その後の人生を変えた。
「集中治療室で意識が戻ったのは、倒れてから2カ月後のことでした。一命は取り留めましたが、筋肉が衰えて、起き上がることもできない状態。でも、生かされた人生だったら、好きなことをして過ごそうと、思いいたりました」
そんなとき、リハビリをしていたら知人から、閉店した洋食店を借り受けて、おはぎ店をやらないかと誘われた。