【ポップな心霊論】「事故物件を内見したときのこと」
「たしかにいい感じですね」「とても住みやすいですよ」なんてやりとりをしているうちに、僕はすっかり住む気になってしまって。親父に「ここいいんじゃない?」と声をかけたんです。でも親父は「うーん……」となぜかぜんぜん乗り気じゃない。不思議に思っていると、「ここにしましょう」と、不動産屋さんが手をぎゅっと握ってきたんです。
僕に気があるのかも、なんてドキッとしたのもつかの間、急に手を握る力が強くなって「ねえ、ここで一緒に住みましょうよ」と。その瞬間、ガチャっと玄関のドアが開く音がして「お待たせしました!」と本物の不動産屋さんが入ってきました。僕が話していたのは、その部屋に住んでいる霊だったんです。親父にはすぐ正体がわかったみたいですが、それなら早く教えてくれって感じですよね。
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