社会人にも大人気の大学講義…講師は日本初の「ゲイ牧師」
初回の講義から黒板には「SEX」や「男色」など性に関する言葉が書かれ、ジェンダーとセクシュアリティの違いや、それらを表す用語の説明がつづく。「ゲイ」「オカマ」「ホモ」という言葉の違いを学生に答えさせたり、学生自身も知らずに持っている差別意識を認識させたり。必ずリアクションペーパーを書いて提出するのもこの講義の特徴だ。
講義が一段落すると「ここから少し、僕自身の話をします」と、自分史を語り始めた。
平良さんは1968年、沖縄生まれ。両親ともクリスチャンで、父は牧師だ。珍しいその名前は、民族の自由や誇りを奪われたイスラエルの民が歌った“哀歌”と沖縄の歴史を重ねて付けられた。自分が同性愛者だという自覚を持ちながらキリスト教的価値観の中で暮らすことは、彼にとってきわめてつらいものだった。
キリスト教世界では「神はゲイを許していない」という価値観が一般的だ。聖書に「同性愛は罪」と書いてあるといわれるからだ。
神を信じていながら、同性愛者である自分の存在は神に否定されている――。高校生のころには自死を考えるほど追い詰められた。