「マンガ大賞」候補に…“人生リセット”するラブコメ作品
コップにたまった水が溢れるみたいに限界を超えた彼女は、薄れゆく意識の中でこう悟る。
「空気は/読むもの/じゃなくて/吸って吐くものだ」
思いきり同意して、凪の背中を優しくさすりたくなるような、この真理。いつのまにか空気を読む、読もうとすることに慣れていた自分自身に突き刺さる。
凪は仕事を辞め、慎二と別れ、引っ越しをする。都心2LDKから、郊外の6畳1間。データだけで見たのなら、完全なる脱落だが、彼女の表情は、以前よりもずっと明るくてすがすがしい。必死に毎朝ストレートにしていた髪も、天然の強いくせ毛のままとなり、それもまた似合う。
しかし、さまざまなしがらみから解放されて幸せになりました、で終わるわけではない。
毎日は続いていくのだ。わざわざ住所を調べて会いに来た慎二や、自称イベントオーガナイザーの隣人ゴンちゃんとの色恋を巡る人間関係。逆隣に住むクールな小学生のうららちゃんとの不思議な友情。減っていく預金残高。
毎日のように凪の悩みは生まれて、感情は渦巻く。
最新巻ではさらに、遠く離れて暮らす母との関係もそこに加わる上に、ラストでは慎二とゴンちゃんの直接対決などもあり、ますます目が離せない展開となっている。