読むと京都が100倍楽しくなる『舞子さんちのまかないさん』
舞妓さんになるのはあきらめて青森に帰ったほうがいいと言われ、従うつもりでいたときに、まかないを担当していたおばちゃんが倒れてしまう。市販のお弁当にもみんなが飽きはじめた頃、キヨは台所に余っていたもので親子丼を作りあげる。あたたかな親子丼は、みんなをホッとさせ、それを機に、キヨはまかないを担当するように。
以上が、キヨが「舞妓さんちのまかないさん」となるまでの流れだけれど、一話ずつが短いため、数話を読むうちに、徐々にわかっていくようになっている。そのあたりの描き方もとても上手で、以前の話で登場していた小道具が別の話で再び登場するなど、ささやかな伏線が回収されていくのも読んでいて楽しい。
舞妓さんというと、遠い世界の存在に感じてしまうのだが、このマンガで描かれている彼女たちの姿は、とても親しみやすく、まるで知り合いにいてもおかしくないようなものだ。自分のプリンが他の誰かに食べられてしまったことを本気で怒り、食べたい料理をキヨにこっそりリクエストする。イラストのタッチがとても可愛らしいこともあり、彼女たちが、年下の親戚や友だちであるかのような柔らかな感覚が読者であるこちらに生まれてくる。