BUCK-TICK、故郷・群馬でデビュー35周年を締めくくり『異空-IZORA- FINALO』レポート
眼光鋭く悲痛な表情で歌う櫻井の横で、ピョンピョンと「ジェンガ」のステップを踏む今井のアンバランスなパフォーマンスが物悲しさを倍増させた。命咲かせよと歌う「名も無きわたし」では、ステージいっぱいに花びらが舞う映像が広がり花吹雪が舞う会場の中、クリアーなアンサンブルと力強いボーカルが、陶酔感を与えながらカタルシスへと導いていった。
ヤガミ・トール
ツアーでは行われなかったWアンコールで演奏されたのは「New World」。この公演で35周年イヤーを締めくくり、新章へと突入するBUCK-TICKにふさわしい光溢れるナンバーは、彼らの進む未来を明るく照らす。それと同時に、問いかけてくるのだ。戦闘機に乗って太陽を目指した「太陽とイカロス」の主人公が、“今”の私たちに託してくれたこの世界は、はたして美しいと言えるだろうか。胸を張れる未来になっているだろうか。コンサートの余韻とともに、そんな問いかけが数日経った今でも胸を去来する。
過去から現在、そして未来へと繋げていくもの、守っていきたいもの。『異空 -IZORA-』が表現したメッセージは、このツアーを通して、しっかりとこの胸に届けられたと思う。
今井寿
終演後、外に出た観客に嬉しいサプライズが用意されていた。