BUCK-TICK、故郷・群馬でデビュー35周年を締めくくり『異空-IZORA- FINALO』レポート
甘美なサウンドに、右手に持ったティンシャを揺らしながら、憂いのある声で情感豊かに歌う櫻井のボーカルが映えた。「さよならシェルター destroy and regenerate-Mix」では、我が子をシェルターに送り、葛藤を抱えながら銃を構える兵士を演じる櫻井のパフォーマンスが毎回注目を集めているのだが、この日は銃に見立てたマイクスタンドをそっと床に置いていたのが印象的だった。ツアーでは投げ捨てるようなパフォーマンスを何度か観ていたのだが、その日その瞬間の彼の感情がこうしてパフォーマンスに反映されるのは観ていて面白い。「お父さん、お母さん、花束をどうぞ」と、キャッチーなメロディで戦時下の生々しさを子供目線で歌う「Campanella 花束を君に」を披露。「THE SEASIDE STORY」「人魚 -mermaid-」と2曲の人魚ソングから、サンバのリズムでビーチ感を受け継いだ「無限 LOOP -LEAP-」で幻想的なサウンドスケープを描いた後、短いMCタイムへ。
樋口豊
たとえば過去に上毛かるたの言葉を使ったメンバー紹介をしてみたり、地元では何か特別なことがあるんじゃないかと期待する観客の思いが伝わったのか、「いつも高崎で何かあるんじゃないかって……何もないっすよ」