アーティゾン美術館5回目の『ジャム・セッション』は国内外で注目を集めるアーティスト毛利悠子が登場
フルーツは朽ちてコンポストを通じて肥料へと変化する循環型の作品も発表した。これらは音楽的で色彩も美しい軽やかな作風でありつつ、気候変動などの問題にも応答している。
同展タイトルの「ピュシス」とは、通例では「自然」あるいは「本性」と訳されるギリシャ語だ。ギリシャ哲学における「万物の始源=原理とは何か」という問いの中で、「ピュシス」は中心的考察の対象となっていた。哲学者たちは生成、変化、消滅といった運動に世界の本性を見出したが、現代の毛利悠子の創作を鑑賞するキーワードにもなるだろう。
毛利悠子《Decomposition》2021年—、「Neue Fruchtige Tanzmusik」展示風景、2022年、Yutaka Kikutake Gallery写真:kugeyasuhide
毛利にとっては、新旧作品が揃う国内最大規模となる同展。石橋財団コレクションの中からどのような作品が選ばれるのかも楽しみだ。ここでしか体験できない微細な音や動きに目を凝らし、耳を澄ませ、空間に身を浸したい。
<開催概要>
『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて』
会期:2024年11月2日(土)