2022年3月8日 19:30
ミロコマチコ展『うみまとう』4月5日より開催 大脇千加子と金井志人をゲストに迎えたトークイベントも
また森の深い色の濃淡に、奥の奥まで見えるような感覚に陥る。そして島に昔からある染色に出会う。その土地で生まれた植物や水で、キャンバスとなる布やあるいは絵そのものを染めることで、島で感じる色や空気を絵に込めることができた。
次第に絵になるための布や衣を身につけるようにもなっていく。直接身につけるものは、動きを受け止め、しなやかに変形し、出来上がった絵には残っていない痕跡も、写し出す。
ペインティングを共に過ごした布や、解体した衣を染めて、キャンバスに張り、破かれた紙やビニールがコラージュされる。その絵を描くときに下に敷く布や衣はまた、その場の時や空気を纏う。そしてまた絵になっていく。
“生み出す”ことと、ずっといきものを描くことにこだわってきたその根源である“海”と、まとわりつき、絡まること、を意味する“纏う”を組み合わせて「うみまとう」。そこには、それぞれが導かれるように交り合う表現者たちがいる。
わたしの制作する世界の中に「うみまとう」が絡まり渦を巻いていく。ライブペインティング、島の森での制作の映像、仕立てていく衣や染色の過程、生まれてくる素材、完成した絵など、今展覧会ではその一端を展示したい。