2023年12月19日 19:25
ジャンル映画の定石通りで懐かしくも楽しい新たな祝日系殺人映画が誕生『サンクスギビング』
イラストレーション:高松啓二
映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。
【水先案内人 高松啓二のおススメ】
感謝祭は11月の第四木曜日の祝日に行われるアメリカの歳時記だ。ノーマン・ロックウェルが描いた食卓に七面鳥を家族で囲むイラストは典型的な風景である。
本作は「感謝祭」の発祥地マサチューセッツ州プリマスを舞台にした連続殺人サスペンス作。元々、2007年公開『グラインドハウス』の架空予告編に製作され、長編作品として蘇った。感謝祭翌日のブラックフライデーセールでのスーパーマーケットの暴動から1年後に謎の殺人事件が起こる。
オープニングから脳みそが飛び散り、内蔵をぶちまけるグロい描写が満載。しかし、あっけらかんと撮られているので思わず笑ってしまう。
これはイーライ・ロス監督の意図的な狙いであろう。被害者も調子に乗った高校生なので同情心もそんなに湧かないのも巧妙。殺人鬼がお面を被っているのは昔のジャンル映画の定石通りで懐かしくも楽しい。ラストまで80年代テイストの血まみれ料理でお腹いっぱいになる。新たなる祝日系殺人映画の誕生だ!
<作品情報>
『サンクスギビング』
12月29日(金)