名優ジェシー・プレモンスが語る。最新作『憐れみの3章』はオファーを受け「即決しました」
全力でぶつかってみようと思ったのです」
プレモンスがそう思ったのも無理はない。本作はタイトルのとおり3つの物語で構成されており、それぞれの章で描かれる物語、テーマが巧みに絡み合う作品だからだ。
「最初に台本を読んだときから、徐々に積みあがっていきました。読んだあと、どれくらい経って稽古に入ったのかはもう覚えていませんが、すぐに体に沁み込んできたことは覚えています。読み返すと、また少し違った風にも感じました。映画のテーマやムードは、かなり早い時点で体に入っていましたが、頭では何のことだか、さっぱり分かっていませんでした。この映画をどう捉えればいいのか、理性では分かっていないのに、体はすぐに反応していました。この不思議な感覚がしばらく続きました」
観客がスクリーンで起こる出来事を少しずつ解釈したり、掛け合わせるように、出演者たちも時間をかけて本作に取り組んだようだ。
ラッキーなことに撮影は第1章から、2章……と順番に行われた。「そうでなかったら、大混乱になっていたでしょうね(笑)。どんな映画にも始まりがあり、終わりがあります。この映画では、それを3度も味わうことになりました」
そんな状況でも俳優が安心して演技を続けられたのは、確かな監督がいたからだ。