2023年2月24日 12:00
私写真の先駆者・深瀬昌久、日本国内初の大回顧展『深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ』開催
様々な衣装に身を包んだ洋子の表情豊かな写真は、ユーモラスな軽やかさと被写体への愛を感じさせると同時に、どこか過剰な演出が一抹の不穏さも想起させる印象深い作品だ。
また、深瀬作品には、現在の私たちがスマートフォンを使って撮影する「セルフィ」に通ずる身体感覚が見いだせるという点も興味深い。生涯を通してカメラを自己探求の手がかりとした深瀬は、その独特のカメラアイで、何気ない日常を題材にしながら、ときに狂気とユーモアが表裏一体をなすような作品を生み出した。
写真表現の奥深い可能性を示す、こうした深瀬の視座にも注目したい。
なお、同館には、写真専門図書室が併設されており、こちらでは、深瀬の写真集をはじめ関連図書が紹介されている。展示室でオリジナルプリントを堪能した後には、出版当時の写真家の想いが込められた写真集を閲覧してみてはいかがだろうか。
<開催情報>
『深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ』
会場:東京都写真美術館
会期: 2023年3月3日(金)~6月4日(日)
時間:10:00~18:00、木金は 20:00 まで(入館は閉館 30 分前まで)
休館日:月曜(5月1日は開館)