2024年1月31日 07:00
戦争に翻弄される人々を描く、オフィスコットーネ『兵卒タナカ』今週末より
オフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』が2月3日(土)より東京・吉祥寺シアターにて上演される。
これまで、ドイツ軍占領下のフランスで、同じフランス人でありながら敵と味方に別れざるを得ない人々を描いたジャン=ポール・サルトルの『墓場なき死者』(2021年)、5人の息子を次々に戦争に奪われる母の物語であるカレル・チャペックの『母 MATKA』(2021年)と、戦争に翻弄される市井の人々を描く作品を上演してきたオフィスコットーネ。今回の『兵卒タナカ』は80年前にドイツの劇作家、ゲオルク・カイザーによって書かれた、当時の日本の軍国主義を痛烈に批判した作品だ。ドイツ人であるゲオルクの目から冷静に描き出されているのは、神格化された天皇が率いる軍隊と、そこに身を置いた人間の誇りが崩れるさま。
物語は兵卒タナカが戦友のワダを連れ、休暇で北国の貧しい農家である実家に帰ってくるところから始まる。大飢饉の真っ只中にありながら、酒や魚、タバコを用意して息子を出迎えるタナカ家。しかし、兵隊という仕事に誇りを持っていたタナカは、家族の犠牲によって自分の身分が成り立っている現実を知り、絶望して思いがけない行動をとる。