『ジョーカー』を読み解くカギは“日記”に!? ホアキン・フェニックスが語る
トッドから空白の手帳を渡されたんだ。“何を書けばいい?”とたずねたら、いくつか案を送ってくれたけど、数日経つと突如書くことがどんどん湧いてきて、彼の案を無視して書き続けたんだ(笑)」と振り返る。
映画に登場するフェニックス直筆の手帳=日記は、ページの中で文字が行き場をなくしてうごめいているような状態で、小さな文字でビッシリと書かれているページもあれば、謎の空白地帯や、同じフレーズが何度も繰り返されている箇所があるという。「監督は僕の日記にひらめきを与えようと足のステップについて送ってきてくれたんだ。そして、いくつかのシーンで使うアーサーが長い階段を登るときのステップについて教えてくれた。僕が書いた日記のなかには“ステップ、ステップ、ステップ、ステップ、ステップ”とページを埋め尽くすように書かれたものが数枚かある」
これまでも名優と呼ばれる俳優たちが役のために日記を書いてきた。日記を書いたことのある人ならわかると思うが、日記は“日々の記録”だけでなく“自分自身との対話”でもある。自分はいま何を思っているのか? 何に怒っているのか? 誰も言えない不安は何か? 本当は何をしたいのか?
『ジョーカー』は、フェニックス曰く“どのようにして人とコミュニケートしていいのかわからない人間”アーサーが、様々な事件に巻き込まれる中で自分自身と向き合い「認められたいとか、パワフルに感じたいなどの圧倒的な要求」