2022年9月8日 17:00
記憶喪失の青年がたどる世界を豊かに彩ったミュージカル『COLOR』上演中
成河(ぼく)×濱田めぐみ(母)
浦井健治(大切な人たち)
復学した草太は事故前からの親友(成河、浦井が草太を演じない回でそれぞれ演じる)の助けもあり、徐々に今の世界での生き方を見出す。イキイキしたこのふたりのシーンがいい。それでも埋めようのない現実とのギャップにぶち当たり、我慢の限界に達した草太は母と激しく衝突する。息子の行動をまさに体を張って母が止めようとするこのシーンには、胸が熱くなるのをどうしたって抑えられない。
浦井健治(ぼく)成河(大切な人たち)
成河(ぼく)×濱田めぐみ(母)
個性の違いで、別の作品を味わった感覚にもなる2チーム制。あくまで筆者の印象だが、成河×濱田は緻密に練り込んだ芝居で感情を揺さぶり、自然体なタッチの浦井×柚希にはドキュメンタリーを観ているような共感があった。音楽はヒット曲「トイレの神様」で知られる植村花菜。言葉とメロディがしっかり手を携えた楽曲は、ミュージカルとしてのスケール感も伴いながら、耳に優しく運ばれてくる。
成河(ぼく)×濱田めぐみ(母)
浦井健治(ぼく)×柚希礼音(母)
先に触れたような親子愛は色濃く描かれているが、限定的で明確なテーマが存在しないからこそ、観客それぞれに自由な想いが広がる作品だ。