2021年9月29日 17:00
19年に逝去した佐藤雅晴の過去最大規模の回顧展『佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在』水戸芸術館にて開催
日常風景をビデオカメラで撮影した後、実写をトレースしてアニメーション化する、「ロトスコープ」と呼ばれる技術によって映像作品を制作してきた佐藤雅晴(1973-2019)の過去最大規模の回顧展が11月13日(土)より水戸芸術館にて開催される。
2009年に「第12回岡本太郎現代芸術賞」で特別賞を受賞。2016年に原美術館で個展「ハラドキュメンツ10 佐藤雅晴-東京尾行」、2017年にはシドニーでも個展「TOKYO TRACE 2」を開催するなど、国内外で精力的に作品を発表。現代美術、映画、アニメ、メディア・アートの表現領域を越え、高い評価を得てきた。
東京藝術大学大学院美術学科絵画専攻修了後、ドイツを拠点に活動。2010年の帰国直後に上顎癌が発覚し、以後、茨城を拠点に闘病生活を送りながら制作に励んでいたが、2019年3月、45歳の若さで他界した。
生前、佐藤はトレースという行為について、描く対象を「自分の中に取り込む」ことだと語っていた。実写とのわずかな差異から生じる違和感、現実と非現実を行き来するような曖昧さ。
さまざまな感情や感覚を呼び起こす佐藤の作品は、「見る」ということの奥深さと豊かさを与えてくれる。