「アートはみんなのために」という信念のもと、1980年代のニューヨークを中心に地下鉄駅構内やストリートといった日常の場にアートを拡散させることで社会への強いメッセージを発信したキース・へリング。その芸術を体感できる展覧会が、12月9日(土)から2024年2月25日(日)まで、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催される。
1958年にアメリカ北東部のペンシルベニア州に生まれたヘリングは、1980年代初頭、ニューヨークの地下鉄駅構内の使用されていない広告板を使って、光り輝く赤ん坊、吠える犬、光線を出す宇宙船といったアイコニックなモチーフを描いた「サブウェイ・ドローイング」で脚光を浴びた。ウォーホルやバスキアとともにカルチャーシーンを牽引し、世界中で壁画制作やワークショップを行うと同時に、HIV・エイズ予防啓発運動や児童福祉活動といった社会活動も積極的に展開。1990年、エイズによる合併症で31歳の若さで没するが、10年ほどの短いキャリアのなかで、明るくポップな作品を多数制作し、混沌とする社会に対して強いメッセージを発信し続けた。
同展では、活動初期のサブウェイ・ドローイングから、アイコニックな作品や彫刻、ポスター、6メートルに及ぶ大型作品まで、ヘリングの世界観を体現する150点が勢ぞろいする。