舞台『キオスク』出演、橋本さとしインタビュー 「僕たちがいるべき場所はここなんだ」と感じた日々
気合十分です。
――『偽義経冥界歌』も『ビリー・エリオット』も、どちらも「父」役でしたね。
そうなんですよ。一方は地獄のお父さんで、もう一方は炭鉱夫のお父さん。いろいろなお父さんを演じさせていただいて、僕もそういう役柄を演じるような年齢に差し掛かっているのかなとすごく実感しました(笑)。
殺されて生き返るような冥界にいるお父さんと、超現実的な1980年代の労働者組合のストライキの真っ最中で戦いながらも、家族の間で揺れ動くリアリティのあるお父さんの役と、幅広かった。両方演じられてとても楽しい1年になりましたね。
――その中で、今回は舞台となるキオスク(タバコ店)の店主オットー・トゥルスニエク役を演じられます。
オットーという役も、まさに血はつながっていないですが、フランツという青年にとっては、親父的存在でいる役柄なんです。フランツという田舎で育った純朴な青年が、ウィーンの街に出てきて、第二次世界大戦目前の、ナチスドイツが台頭する現状を目の当たりにする。そのきっかけになる、オットー・トゥルスニエクというおじさんで、彼が人生観のスイッチを押してあげる役という意味では、親父的ポジションにいるのではないかなと思います。