所在不明の名作が44年ぶりに発見 『鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開』が開催中
(c)Nemoto Akio
近代日本画の巨匠、鏑木清方による美人画三部作などを展示する『鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開』が、東京国立近代美術館にて11月1日(金)より12月15日(日)まで開催されている。
1878年東京・神田生まれの鏑木清方は、美人画で上村松園と並び称された日本画家だ。浮世絵系の水野年方に入門し、挿絵画家として画業をスタート。その後、浮世絵をもとにした近世風俗や、失われゆく明治の情景をテーマにした日本画を追求していく。
そうして生まれたのが《築地明石町》(1927年)や《三遊亭円朝像》 (1930年)、《明治風俗十二ヶ月》(1935年)といった名作の数々。中でも《築地明石町》は、審査委員たちの絶賛を受け、帝国美術院賞を受賞。戦後はしばしば展覧会に出品されていたが、1975年に行われた回顧展を最後に所在不明となり、「幻の名作」となっていた。
そんな中、今年に入って発見された《築地明石町》と、あわせて三部作となる《新富町》《浜町河岸》(どちらも1930年)を、東京国立近代美術館が6月に収蔵。
同展ではこの三部作を披露するほか、同館が所蔵する重要文化財の《三遊亭円朝像》や12幅対の《明治風俗十二ヶ月》など、全13件の清方作品が一堂にそろう。