くらし情報『是枝裕和監督の“視点”を演技で表現。名優ソン・ガンホが語る映画『ベイビー・ブローカー』』

2022年7月1日 18:00

是枝裕和監督の“視点”を演技で表現。名優ソン・ガンホが語る映画『ベイビー・ブローカー』

僕は現場では楽できるかなぁ』なんて言ってたんですよ! でも、実際に演じてみると……まったく楽ではありませんでした(笑)。落とし穴のようなものだったんですね。その点は本作でも同じでした。

このような役は、“見えている”のだけれど見えていないように、スクリーンでは“見えていない”のだけれど、観客が見えているように演じることが求められるわけです」

広い意味での“社会”がこの映画で描かれている

是枝裕和監督の“視点”を演技で表現。名優ソン・ガンホが語る映画『ベイビー・ブローカー』

『ベイビー・ブローカー』
彼が語る通り、劇中のサンヒョンは派手に動いたり、大きく立場が変化するわけではない。しかし、ソン・ガンホはどのシーンでもそこにいる俳優の動きや感情を的確にキャッチし、絶妙なタイミングとトーンでリアクションしている。本人は「私がリアクションすることで、相手の演技の邪魔にならないように演じています」と控えめだが、彼は自分の役やセリフだけでなく、相手の俳優がどういう状態で、何をしゃべるのか、そのシーンが映画全体の中でどのような役割を果たしているのかを精緻に把握している。

「ときに映画は“監督の芸術”と呼ばれます。私が大事にしているのは、“映画は、俳優の肉体と言語で形成されている芸術でもある”という考えです。

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