人気浪曲師が聞かせる「魂」のうなり! 玉川奈々福、初の著書『浪花節(なにわぶし)で生きてみる!』
講談の伯山、浪曲の奈々福、新しい世代の人気演者の登場で昔ながらの演芸がブーム、と言われている。その牽引者のひとり、浪曲師玉川奈々福が初めての著書をだした。『浪花節(なにわぶし)で生きてみる!』(さくら舎/1600円+税)。
森の石松や俵星玄蕃、平手造酒など演目に登場する人物を中心に浪曲的世界を解説した第1章は、ぴあアプリで連載した「玉川奈々福 浪花節的ココロ」に加筆したもの。第2章は、筑摩書房の編集者から三味線の勉強で浪曲協会の教室に通い出し、玉川福太郎に入門し浪曲師になっていく「玉川奈々福のできるまで」。
落語、講談、浪花節を三大話芸という。「昭和十八年には浪曲師が約三千人いたという記録が残っています。昭和三十年代までは日本で一番人気のある芸能が浪曲だった」。
それが斜陽といわれ「絶滅危惧種とも言われ続けた浪曲に、いま、若手の入門が相次いで」いるという。奈々福によるそんな浪曲の歴史解説や、現代の演者のプロフィール紹介まで、浪曲の楽しい入門書といえる内容になっている。
【著者からひとこと。】
浪花節は、長らく「お涙頂戴」と言われました。涙の芸能。社会の中では比較的下層の人々の、悲しい、痛い、切ない、寒いという、負の感情に寄り添い慰めるものだったと思うのです。