2021年9月15日 17:00
江戸琳派の鬼才・鈴木其一の秘密を探る『鈴木其一・夏秋渓流図』展開催
2020年、江戸琳派の鬼才・鈴木其一の代表作が、国の重要文化財に指定されたことを記念し、11月3日(水・祝)より、『鈴木其一・夏秋渓流図』が根津美術館にて開催される。
江戸琳派の祖・酒井抱一(さかい・ほういつ1761~1829)の高弟でありながら、琳派の枠にとどまらない個性的な画家として近年、再評価が進んでいる鈴木其一(すずき・きいつ1796~1858)。
岩場を削る鮮やかな青の水流、ひのきの幹や岩に付着する無数の苔、大きすぎる百合など、一見写実的な描写に非現実的な感覚がにじみでている≪夏秋渓流図屏風≫。40歳代半ばの作と考えられる本作品は、近代絵画を先駆けるとも評される其一の芸術性が集約された、文字通りの代表作にして、最大の異色作でもある。
同展は、鈴木其一≪夏秋渓流図屏風≫が重要文化財に指定されたことを機に、抱一や光琳の影響はもとより、円山応挙や谷文晁、古い時代の狩野派など琳派以外の画風の摂取、そしてそれらを自然の実感も踏まえつつ統合する其一の制作態度を検証し、本作品に指摘される「奇想」の核心に迫っていく。
円山応挙筆重要文化財≪保津川図屏風≫日本・江戸時代寛政7年(1795)