2022年6月4日 12:00
カラフルな仕掛けと多彩なダンスで魅了! 個性溢れるキャラクターが魔法の世界へ誘う『不思議の国のアリス』開幕
米沢は、古典バレエで見せる豊かな音楽性、精確なテクニックはそのままに、快活で好奇心旺盛ながら、透明感あふれる魅力的なアリスで客席を魅了。白ウサギを追いかけて落ちた穴にずっと落ち続けたり、大きくなってしまった身体を持て余したりと、この物語ならではの現実離れした状況が、リアルの米沢の演技と独創的な装置、プロジェクションマッピングとの見事な調和で、鮮やかに描き出されていく。世界初演から10年以上が過ぎたいまも全く色褪せることがない美術の美しさ、新しさは、まさに名匠ボブ・クロウリーの手腕だ。
この日、相手役の庭師ジャック/ハートのジャックを演じたのは、やはりプリンシパルの渡邊峻郁。アリスと惹かれ合う庭師の青年ジャックは、やがてハートのジャックとして登場、第2幕、第3幕ではアリスとともに清々しいパ・ド・ドゥで魅せる。
アリスを不思議の国へと導くルイス・キャロル/白ウサギを演じた木下嘉人のミステリアスでコミカルな演技も、アリスの母/ハートの女王の益田裕子の傍若無人なパフォーマンスも実に印象的。ハートの女王には、古典作品の『眠れる森の美女』で可憐なオーロラ姫が4人の求婚者たちと踊る名場面「ローズ・アダージオ」