2024年3月4日 11:30
1930-40年代の版画運動を約300点の作品で展観『版画の青春 小野忠重と版画運動』町田市立国際版画美術館で開催
画家が版下を描くだけでなく、彫りも摺りも自ら行い、自らの創意を反映した作品づくりを目指した明治末期の「創作版画」運動からほぼ30年。昭和初期の1930年代から40年代にかけて活動した「新版画集団」と「造型版画協会」による版画運動を、そのリーダーであった小野忠重の旧蔵品を中心に紹介する展覧会が、東京都の町田市立国際版画美術館で、3月16日(土)から5月19日(日)まで開催される。
小野忠重は、1909年生まれ。当初は画家としてプロレタリア美術に関わっていた。20代初めの1932年に、武藤六郎ら同世代の青年たちと「新版画集団」を結成し、「版画の大衆化」を掲げて版画運動を開始する。だがその運動のなかで、現代版画には絵画的な充実が必要だと実感した集団は、1936年にいったん解散。翌1937年に小野や清水正博らメンバーの一部が「造型版画協会」を結成して、版画運動を継続・発展させていった。
1930年代といえば、関東大震災からの復興をはたした東京が、新しい景観をもった近代都市へと変貌をとげ、映画やカフェなどの娯楽文化が流行したモダンな時代。
その一方で、経済や文化面などへの国家の統制が強化され、戦時体制へと歩みが進んだ時代でもあった。