中村獅童×寺島しのぶ『文七元結物語』上演決定 山田洋次が脚本・演出を一新
歌舞伎座新開場十周年「錦秋十月大歌舞伎」にて、山田洋次演出による『文七元結物語(ぶんしちもっといものがたり)』が上演されることが発表された。
『文七元結』は、幕末から明治にかけて活躍した落語家の三遊亭圓朝が口演した人情噺で、歌舞伎としても、明治35(1902) 年の歌舞伎座で五世尾上菊五郎により初演され、数々の名優が演じてきた人気作だ。
腕のよい左官の長兵衛は博打に溺れ、女房のお兼と夫婦喧嘩が絶えない貧乏暮らし。それを見兼ねた孝行娘のお久は、吉原の廓・角海老に奉公を決意。娘が身売りしてつくった五十両の金を大事に懐にしまうその帰り道、若い男が吾妻橋から身投げしようとするのを見た長兵衛は、懐の五十両をその文七という若者にくれてしまい……。
「『文七元結』は落語として屈指」と話す山田は、十八世中村勘三郎からのリクエストを受けて、平成19(2007) 年10月新橋演舞場『人情噺文七元結』の補綴を手掛け、シネマ歌舞伎版の監督を務めた。その後、勘三郎とタッグを組んだ『人情噺文七元結』は、平成22(2010) 年に赤坂ACTシアター、平成23(2011) 年に大阪新歌舞伎座でも上演された。今回の上演では、山田の新たな構想により脚本・演出を一新。