2021年4月19日 17:00
iakuの代表作『逢いにいくの、雨だけど』待望の再演
撮影:木村洋一
iakuの『逢いにいくの、雨だけど』が三鷹市芸術文化センター星のホールにて上演中だ。
関西弁による、緻密でありながらくだけていて、リアリティあふれる対話を描く横山拓也の演劇ユニット、iaku。『逢いにいくの、雨だけど』は、2018年末の初演時に評判を呼び、鶴屋南北戯曲賞ノミネート、OMS戯曲賞佳作受賞などの評価も得た彼らの代表作のひとつ。横山自身、「戯曲としては集大成、演出としては新たな境地」と語る今作が、2年半ぶりの再演となる。
舞台は平成3年と30年。家族ぐるみの付き合いをする、仲良しの幼い二人。しかしある日、ともに通う絵画教室で、ちょっとしたもめごとが原因で男の子が片方の目を失明してしまい、二人は被害者と加害者に分かれてしまう。27年後、事故以来会っていない彼に、彼女は会いに行こうと決意する。
たった一度の不慮の事故。それが、当事者二人だけでなく、彼らを囲む家族をも変えていく。二つの時代のできごとが同時に紡がれていき、観客は次第にその変化を知ることになる。取り返しのつかないできごとを、忘れることのできない後悔とわだかまりを、人はどうやって乗り越えるのか。許すことと許されることの難しさ、複雑さは、大なり小なり誰しも感じたことがあるはずだ。