もし、幸福になれる花があったとしたら? 映画『リトル・ジョー』が投げかける“問い”
つまり、新種の花の周囲の人々は“変わりたいと思っていないのに変わってしまう”存在で、アリスは“変わりたいのに変われない”存在だ。
「この物語ではアリスは息子に対して罪悪感を感じていて、同時に新種の花を生み出したのも彼女です。通常、自分の行動が周囲に何かしらネガティブな反応を引き出した場合に罪悪感が生まれると思うのですが、この物語で描かれるアリスの罪悪感はすべて彼女の“頭の中”で起こることなんです」
ハウスナー監督が語る通り、本作は物語が進み、周囲の人が変化していっても、花粉と変化の関係は明確には描かれない。そしてその変化が本当に“幸福”なのかも。
「もしかしたら、罪悪感というものはそもそも不要なものなのかもしれないですよね。もし、罪悪感を完全に捨て去って解放されたとしたら、みんながハッピーになれるかもしれない」
あなたは幸福になることができる花があるとして、それを手にするだろうか? みんなが誰かに乗っ取られて得られる平穏を平和と呼べるだろうか? 罪悪感を捨て去ることが幸福だと思えるだろうか? 映画『リトル・ジョー』はスリリングなドラマで観る者を物語に引き込みながら、最後の最後まで観客を挑発し、問いを投げかけ続ける。
『リトル・ジョー』
7月17日(金) 全国順次ロードショー